ファイナンシャル・プランニングの基本ステップ

今回は、ファイナンシャルプランナーと顧客との関係性の確率、ライフデザイン、ファイナンシャルゴールの設定などFP業務を行う際に最低限必要なFPの手順についてです。

FPの6ステップ

まず最初に行わなければならないことは、相談者(顧客)とFP(プランナー)との関係の確立です。

ファイナンシャル・プランニングの主体はあくまで相談者であり、その目的は、自己責任に基づくプランの自己決定にあるからです。

FPは、クライアントがそこに到達するために専門家としてアドバイスをする形になります。

つまり、FPがクライアントに対して教え諭すような関係は、あなたの自己決定を阻害する可能性があるので望ましくありません。

ステップ1,顧客との関係確立とその明確化

  • FPは単なる一般的な情報提供者であってはならない。
  • ライフプランに応じて、個人に最も適切だと考えられるプランを立案することが前提。
  • ファイナンシャル・プランニングは共同作業であり、最終的にはあなたの自己決定が尊重される。

そのためには、まず、クライアントとプランナーとの適切な関係が大切であり、そこから信頼感が醸成されることになります。

そのためのポイントをこれからご紹介します。

1,ファイナンシャル・プランニングとプランナーの力量に関する情報

FPのプロセスやポィントの説明、プランナーの経歴や保有資格などの説明があったか。

2,ニーズに対するプランナーの適合性の判断

専門分野や実務経験などが自分のニーズに適合しているかどうかを確かめる。

3,業務契約の範囲の明確化

クライアントとプランナーそれぞれの責任の明確化。

どこまでが自己責任で、どこからがプランナーの職業上の責任かを明確にする。

また、報酬体系、どのくらいの期間にわたって関係を続けるかについても明確に合意しておく必要があります。

ステップ2,データの提供と目標の明確化

クライアントとプランナーとの基本的な関係性が確認できたら、次はデータを提供するとともに、生活目標及び希望を明確化していきます。

  1. 資産や債務、収入や支出について面談や質問紙でデータを提供する
  2. ファイナンス上の目的、経済面でのニーズを明確化し優先順位づけをする
  3. 価値観、姿勢、希望のすり合わせをする
  4. ファイナンシャル・ゴールを達成する時期を明確化する
  5. リスク許容度を明確化する
  6. 記録や資料を適切に選択する

重要なのはあなたのライフデザイン

これらの中で最も重要なのはライフデザインです。

  • ライフプラン上の目標の明確化。
  • そこから導き出される個人の経済面でのファイナンシャル・ゴールの明確化。

ライフプラン上の目標を明確化することは、ライフデザインに基づくプランを作り上げるという解釈で結構です。

実際には、ライフプラン上の目標が不明確なまま、漠然とお金を増やしたいとか、老後が不安だとか、保険を見直したいということだと思いますが、最初のうちはそれでも結構です。

ライフデザインに基づくプランを作るプロセスをFPが確りとリードしていきます。

例えば、

  • 住宅を取得するかしないか、するなら何年後か?
  • 子どもの教育はどうしたいのか、留学させる予定はあるか?
  • 老後はどこでどのような暮らしがしたいのか?
  • 仕事はこのまま続けるのか、転職や独立は考えているのか?

といったさまざまな点について明確にしながらライフプランを作っていく必要があります。

ファイナンシャル・ゴールを明確にする

そして、そのライフプランに基づいて、目標に見合うファイナンシャル・ゴールを数値で明確にします。

例えば、

  • 住宅は5年後に5000万円で購入する。
  • 老後資金は25年後の60歳時に退職金以外に2000万円作り出す。
  • 2年以内に起業して年収を2倍にする

といったようにライフプラン上の目標を具体的な金額に落とし込んでいきます。

次に活用すべき情報ですが、情報には定量的情報と定性的情報とがあるということを知っておいてください。

定量的情報とは、数値化できる情報のことで、家族、年齢、収入、支出、資産・負債、生命保険・損害保険、企業福祉や企業年金、納税額といったものです。

定性情報は極めて重要

定性的情報とは、あなたの性格や価値観などに関するデータです。

これはしばしば軽視されがちですが、実際はきわめて重要な情報です。

具体的には、

  • 生活目標
  • 健康状態
  • 興味や趣味
  • リスク許容度
  • 希望するライフスタイル
  • 金銭に対する価値観
  • 家族関係
  • 経済的なものに対する意思決定の傾向

などです。

※意思決定の傾向とは、慎重だとか大胆だとかといったような特徴のことです。

ステップ2-1,面談

適切な面談(Skype含む)を行うことでお互いの信頼感を得ることがでます。

この信頼関係があって初めてプランナーは、スムーズにプランニングのプロセスを開始できます。

  • 面談によりあなたの人柄や希望・不安などの定性的情報を得ることができる。
  • 定性的情報は面談するからこそ得ることができるものが多い。

定量的情報については、あなたの記憶が不正確であったり、あいまいであることも多いので何度も修正が必要になるケースもあります。

ステップ2-2,質問紙

より詳細な定量的情報は質問紙を使用することがほとんどです。

質問紙への記入により、データの整理や把握・確認ができ、自分と家族を見つめ直すよい機会にもなります。

自分で正確に記入できないところ、

例えば、生命保険の契約内容、所得税や社会保険料の金額などについては、保険証券、源泉徴収票、住宅ローン償還一覧表などのコピーを添付してもらうケースがほとんどです。

参考事例▼

例えば、プランニングに必要な情報としては、

家族構成 氏名、続柄、生年月日、性別、年齢、職業など
リスク許容度 投資経験や投資に関する傾向
キャリアプラン 転職、独立、派遣、パートなど
子ども 出産予定、進路予定、結婚資金、住宅取得資金援助など
 住宅  現状、購入予定、買換え、増改築の予定と予算など
 年金  加入している公的年金の種類、加入している企業年金の種類と仕組み、加入している個人年金など
 退職  時期と退職一時金
 退職後のプラン  再就職、田合暮らし、都会暮らし、海外生活など
 贈与の予定  贈与したい人、時期、資産の種類、金額など
 相続  法定相続人、遺産分割に関する希望など
収入 給与・不動産などの種類、税引き前後の金額、今後の増減見通し
支出 現在の生活費などの通常の支出内訳、特別出費の予定、親との同居予定、退職後の生活費など
貯蓄・投資 定期的な貯蓄額、積立投資額と金融商品の種類
金融資産 種類、預入年月日、預入金額、それぞれの運用実績
不動産 種類、時価、購入価格、購入時期、所在地、利用状況など
その他資産明細 ゴルフ会員権、貴金属、書画・骨董など
貯蓄性のある保険のキャッシュバリュー 個人年金、確定拠出年金、養老保険など
負債 ローンの種類、金融機関、借主、借入金額、ローン残高、金利、返済期間、返済額など
保障 加入している保険の種類、保険会社名、契約者、被保険者、死亡保険金受取人、満期保険金受取人、保険金額、特約の内容、保険料、保険期間、保険料払込期間、払込方法など
企業福祉制度など 団体定期保険、財形制度、持株会、労働組合・共済金・協同組合の共済、貯畜制度など

ステップ3、ファイナンスの分析と評価

情報の分析と目的、ニーズ及び優先事項の評価を行っていきます。

これによりあなたが意識していなかった問題点も浮き彫りになり、事前対応が可能になります。

ステップ3-1,現状分析

①お金の流れの分析

現状の収入と支出の把握からスタートし、宅取得・子どもの大学進学・自動車の買換え・老後の生活プランなどを数値化して、キャッシュフロー表を作成していきます。

このキャッシュフロー表を作成するこによって、単年度の赤字や継続的赤字があるか、貯畜の取り崩しは必要かなど、長期的なキャッシュフローシミュレーションが可能になります。

現状の支出内容の詳細な分析もキャッシュフロー分析の土台となるのでとても重要です。

収入と保険料負担や住宅ローンとのバランスはどうか、食費や水道光熱費や交際費などが過大でないかなどをチェックしていきます。

②バランスシートを作成する

バランスシートによって、資産内容と負債内容、そして資産と負債のバランスについて分析していくことが可能になります。

資産全体は総資産ポートフォリオであり、金融資産と不動産のバランス、換金性・安全性・収益性のバランスを分析していきます。

  • 不動産の換金性や収益性が落ちていないか
  • 金融資産に占める株式や株式投資信託の割合が過大ではないか
  • 逆に金融資産に占める元本保証商品の割合が過大ではないか
  • 手元流動性は十分確保されているか
  • 負債が過大でないか

などの点を注意深く見ていきます。

③保障・補償分析

  • パーソナル・リスクやファミリー・リスクが何か
  • それぞれのリスクについてどの程度の保障・補償を保険でカバーしなければならないか

あなたのライフデザインに基づいて整理し、それに基づいて、

  • 必要な死亡保障や医療保障、補償などが確保されているかどうか
  • 逆に必要以上に保険に入りすぎていないか
  • 保険にどの程度の貯蓄性があるのか

他に有効な手段はないのかなどを分析していきます。

④税金分析

  • 支払っている所得税・住民税・自動車税・固定資産税などに節税の余地がないか。
  • バランスシートを相続税評価ベースで見た場合、相続税がどの程度となり、節税する必用があるか。
  • あるとすればどうしたらよいか。

といった視点から全体的な分析を行っていきます。

ステップ3-2,解決方法の検討

現状を分析して問題点の把握ができたら、次に問題点の解決方法を検討していきます。

あらゆる角度から多くの対策を検討した結果、時には外部の専門家を必要とすることもあります。

そして、対策を検討する際には、あなたの目的や必要性に基づき、あなたの価値観・生き方、リスク許容度や性格あるいは健康状態といったことを踏まえて優先事項を評価していきます。

クライアントにとって適切な対策を練り上げる必要があるからです。

その上で、妥当と考えられる複数の対策を考え、その中から最良と思われる対策を選択し、さらに検討を重ね、代替案が必要になる場合もあります。

そして、クライアントとって最適なプランを実行した場合の将来のお金の流れ、バラン、保障内容、節税効果、あるいは税額などについてシミュレーションしていきます。

もしも、対策案にデメリットがある場合は改善し、リスクがあればそれも明確にし、消滅させるか、あるいは軽減していきます。

複数の対策の中から、ライフデザイン上の目的と目標に沿って最終的な優先順位を確定します。

ステップ4,プランの検討・作成・提示

ステップ4-1,プランの戦略の明確化と評価

現状に関連づけて目的、必要性、優先事項にマッチした戦略を検討していきます。

ステップ4-2,ファイナンシャル・プランの作成

①提案書を作成する理由

目的、必要性、優先事項にマッチした戦略に基づいてファイナンシャル・プランを作成します。

提案書というかたちで提示することで問題点や解決策が客観的に目視でき、理解しやすくなると同時に実行がスムーズになります。

目に見える提案書という形でプランを提示することで客観的に自分のプランを俯瞰できるようになるからです。

そして、この実行プランは、将来にわたってあなたの経済的活動の基盤となり、常に立ち返るべき原点にもなります。

また提案書によって、プランナーの責任も明確になり、お互いのコミットメントが強化されます。

②提案書の構成事例

提案書に決まった構成というものはありませんが、弊社では次のようなスタイルを採用しています。

  • 表紙
  • 目次
  • 前書き(ご挨拶)
  • 顧客の現状(プロフィール)
  • 顧客の希望・目標・・・希望・目標には優先順位をつけるようにする
  • 現状分析・問題点の提示・・・ここではライフイベント表、現状のキャッシュフロー表、現状のバランスシート、現状の保障一覧表など
  • 対策の提示・・・パーソナルデザインやライフデザインに基づき優先順位に従って提示していく(選択コースにより異なる)
  • 対策の実行により期待される効果の分析・・・対策後のキャッシュフロー表、対策後のバランスシト、対策後の保障一覧表など
  • 実行に際しての注意点やまとめ・・・必要な場合
  • 添付資料・・・経済データや提案した金融商品の設計書などが必要な場合

③提案書作成にあたって注意している点

提案書を作成する際には、文章は読みやすく、わかりやすく、簡潔にし、専門用語は極力使わないようにして、あいまいな表現は避けるように心がけている。

提案内容は、それがなぜすぐれた提案なのかを数値を挙げてわかりやすく説明することを心がけている。

また、リスクがある場合は、そのリスクを明確に説明し、あなたが確りと認識できるようにする。

ステップ4-3,提案書を提示する

ファイナンシャル・プランについて、その理論的な根拠を、あなたが意思決定を行うことができる方法によって提示します。

例えば、

  • 理解できるようにわかりやすく説明する
  • 内容を正確に説明する
  • 疑間や質問には丁寧に答える
  • 確信と安心感・信頼感をもって実行できる方向に導く
  • プロに提案してもらったという満足感を得られるようにする

などの方法です。

ステップ5,プランの実行援助

ステップ5-1,プラン実行の責任範囲に関する合意

業務契約の内容、クライアントと合意したプランが、プランナーのプラン実行能力と矛盾することのないように、プラン実行の責任範囲について合意しておく必要があります。

ステップ5-2,プラン実行のための商品及びサービスの明確化と提示

業務契約の範囲に従い、あなたが合意したファイナンシャル・プランと矛盾しない適切な商品とサービスを明確にし、提示していきます。

ステップ5-3,プラン実行の援助

ファイナンシャル・プランに対応可能な金融商品があれば、直接、生命保険や損害保険あるいは投資信託、不動産の購入や売却・買換えの実務サポート若しくは契約を行なうことができます。

そうでない場合でも、アドバイス、保険代理店、投資助言・代理業、投資運用業に登録している投資アドバイザー、税理士や弁護士などを紹介することもできます。

いずれにしてもプラン実行にあたっては、クライアントの利益を最優先したかたちで実行・支援していきます。

ステップ6,プランの定期的見直し

十分吟味して仕上げていったプランでも、環境の変化などによって見直しが必要になるケースがあります。

時間の経過、子どもの誕生や結婚、離婚。

病気、退職などの環境の変化や職業の変化。

あるいは価値観や考え方が変わるかもしれません。

景気や金利・市況など経済情勢の変化。

税制や法律の改定などがあれば、プランの見直しが必要になります。

パーソナルデザインやライフデザインに関しては、病気になったり、考え方や価値観が変わらない限り大きく変わることはありません。

しかし、経済的なことがメインになるファイナンシャルプランが長期間にわたりまったくそのまま有効であることはほとんどありません。

したがって、定期的な見直しによって新しい社会経済的状況に対応できるように、継続的なフォローアップが必要になってきます。

ではまた。

この投稿はNPO法人日本FP協会CFPカリキュラム及びFP基準などに沿って記述しています。