今回のFPフル活用術は、ストーリを作成する時のポイント、ストーリーが果たす役割、ストーリーによって得られる恩恵などについてです。
なぜストーリーが重要なのか?
前回もお話した通り、ビジネスというものは、顧客にストーリーを提供し続けるプロセスにおいてのみ成立するものです。
ライバルの企業よりも優れたストーリーを提供できれば、顧客は以前にも増して応援してくれるようになり、利益が急増して、そのビジネスは成長し続けることになります。
例えば、アメリカのビール会社シュリッツ・ビールを救った人の話は有名です。
いろりろなコンテンツに事例としても用いられているので聞いたことのある方もいらっしゃるでしょう。
当時州で5番目程度のポジションだったシュリッツビールを、わずか三ヶ月で全米でNo1に押し上げた立役者。
その人の名は、クロード・ホプキンズ(著名な広告人)。
他者と比較して特に売りがなかったシュリッツビールでしたが、ある時クロード・ホプキンスに広告を依頼しました。
彼は、シュリッツビールの工場を見学し、誰もが当然だと思っていたあることをPRするべきだと主張したのです。
- ビールの水は地下4000フィートからくみ上げた天然水を利用していること。
- 瓶は蒸気で4回も消毒されていること
- ビールが利用者に出荷される前に6 か月間熟成されること
- シュリッツ・ビールを製造するのに使用されるすべての酵母は、そのオリジナル細胞から発達したものであること
これらは、驚くほどの手間ですが、実は、どのビール会社も当たり前のように行っていた製造工程でした。
したがって、その業界にしてみれば、別段アピールするようなものでもないので、どの会社もそのことをPRに使うなど夢にも考えていなかったわけです。
そこで、ホプキンスは、このごく当たり前のことではあるが、しかし一般の人には知られていないビール製造工程の特異的な部分をPRすることにしたのです。
それで、大衆はシュリッツビールだけが徹底したこだわりの製造工程を所有していると思い込み、他とは違う素晴らしいビールを製造しているのだと勝手に解釈したのです。
その結果、シュリッツビールは、わずか三ヶ月で全米№1のビール会社になったわけです。
シュリッツ・ビールは、他のライバル社よりも純粋なビールを作っていたわけではありませんでした。
しかし、彼らは、純粋さを保つためにビール製造者が使っている当たり前の手法を、一番最初に消費者に伝えることに成功したのです。
そのストーリーによって、「シュリッツは最も純粋なビールを作っている
」と多くの人に確信させてしまったのです。
そのことよりももっと大きな成果がありました。
最初に「シュリッツが純粋であること」を主張したことによって、ライバル会社はその分野においてシュルツを上回る主張をすることが出来なくなってしまったのです。
シュルツは、商品やその生産工程は何も変えず、ただストーリーを変えただけでした。
シュルツがやったことは、既存のビジネスストーリーを、優れたストーリーに変えただけだったのです。
この程度のことは、今やマーケティングの世界においてあたり前のように言われていることです。
あなたのFPビジネスは、どんなストーリーを伝えてますか?
これがあなたのビジネスの場合はどうでしょうか?
あなたのストーリは、
- あなた自身とあなたのビジネスについて何を語っているでしょうか?
- 何があなたの市場のカンフル剤になっているでしょうか?
- 何によって価値に気付かせることができるでしょうか?
もし、あなたの語るシンプルで優れたストーリーが、購読者のビジネスを救うばかりでなく、ほんの数か月でナンバーワンにまで導くというものだとしたら、それは一読する以上の価値があるものでしょう。
あなたがたった今お読みになったものは、メンターの広告の1つです。
優れたストーリーを広告に引用したものです。
あなたのストーリーを、もう少し長くてより強力いものにすることは可能です。
なぜなら、わたしたちは、哲学、脳科学、心理学などによって、ビジネスを構築したり、ストーリーをうまく機能させる方法、その他もろもろについて、もっとたくさんのことを深く知っているからです。
今のは私の広告の1つです。
さらに、あなたへの制約は何も存在しないとしたらどうでしょうか。
あなたが飛躍することを止めているのは、あなた自身の思考だけです。
つまり、あなた以外に、あなたが成功することを妨げている要因はありません。
あなたのFP(ファイナンシャルプラン)ビジネスをスターにする
優れたストーリーはブランドを構築する際にも、強力なものであることがお分かりいただけたと思います。
しかし、、、、、
- マーケティング予算をブランド構築だけのために投資するのは好ましくない。
- ビジネスを成長させる過程においてブランドを構築することが、よりベター。
だとメンターの彼も言っています。
では、あなたにとってブランドとは、どのようなもでしょうか?
ほとんどの起業家は、具体的にそれが何であるかを定義できないでしょう。
以前の私もそうでした。
例えば、私の場合、ブランドとは矜持(自信と誇り)です。
信じきれないものを信じ切る力を与えてくれる存在です。
つまり、すべての人の心に元々存在しているものです。
もしも、ブランドが矜持(きょうじ)であることを理解できたなら、
あなたのストーリーから利益を得る方法が理解できるようになるはずです。
とても大きな利益を得られる
ここでいう利益とは金銭的なことだけではありません。
- 信用、信頼、目的、重要性
- 価値観、リーダーシップ、ビジョン
- 関連性、共感性、献身さ
などのことです。
これらのことが一気に得られるとしたら、どのようなことが起こるでしょうか?
あなたのビジネスに、これらのことを関連付けて考えてみて欲しいのです。
もしかしたら、あなたがあらゆるシチュエーションにおいて得たいと願っているものではないでしょうか。
全ての背景にあるものはストーリー
ですからストーリーを描いて伝えてください。
あなた個人のストーリーでもいいですし、友人のストーリーでもいいです。
どこかで聞いたり、見つけたストーリーでもかまいません。
あなたもストーリーを伝えてきたはずです。
すべての出来事にはストーリーが存在しているからです。
それを今までよりも特別なカタチで意識してみるということです。
ストーリーこそが、生き方を明確にしてくれます。
矜持を多くの人たちに植え付けた時に起こる現象
矜持(きょうじ)を多くの人たちに植え付けたときに何が起こるでしょうか?
例えば、、
特定のグループ内に一連の矜持を築くことができたとしたらどうでしょうか?
- 人々が信じることのできるビジネスを築くことができる。
- 帰属意識を持つ人々をつくり出すことができる。
つまり、あなたのビジネスに帰属する人が現れ、その人達と一緒にあなたのビジネスを育むことができるようになるのです。
実はここに、ストーリーをつくる最大の目的があります。
- 矜持を築けた特定のグループは、あなたの製品やサービスなどを取り囲むようなカタチになる。
これが他のビジネスも経ながら延べ28年間事業を営んでこれた源泉です。
適切に使用することができれば、そのストーリーは矜持の構築に役立ち、あなたのファンを生むことになるのです。
クライアントの中に著名な芸能人の方がおりますが、彼らと接する度に「ブランドというのはこういうことなのか」と、感心させられます。
その現象があなたにも十分起こり得るのです。
それは、1人からスタートしてチームに行き渡り、顧客に拡がり、やがて市場を引きつけることになるでしょう。
ビル・ゲイツやアンジェリーナ・ジョリーのようにはなれないかもしれませんが、自分の領分においてスター的存在になることは十分可能です。
もっと広い範囲においてそれがかなえば、よりベターではありますが・・・・
例えそれが小さな単位であったとしても、充実した人生になることは間違いないでしょう。
あなたの生き方とそれを取り巻く人たちの営みが、大方一致している。
それはとても素晴らしいことです。
あなたのビジネスの成長にコミットする人たち
あなたのストーリーが意識に浸透したとき、不思議なことが起こり始めます。
- 多くの顧客があなたのビジネスに貢献してくれるようになる。
- あなたのビジネスを信頼しているので、提供するサービスに多くの資金を投じてくる。
それが、億を超えることだってあるのです。
もっと素晴らしいことは、
あなたのビジネスを支持する人たちは、他の人たちにも、あなたのビジネスを応援するように促してくれるようになるということです。
想像してみてください。
それが、どんな意味を持っているのかを。
そのことが、今日のようなネット機能が発展している時代に、ビジネスを急速に成長させる爆発的な力を発揮するのです。
- 顧客はあなたのメタストーリーに何度も接触することにより、あなたの支持者になってくれる。
- 他のライバルに流れることを制止して、あなたのビジネスを熱烈に擁護(ようご)してくれる。
例えば、マックのユーザーに、ウィンドウズに替えるべきだと言ってみるといいです。
何が起こるか想像できるはずです。
つまり、そういうことなのです。
適切な価格で売れる
メタストーリーは適切な価格を設定することを可能にしてくれます。
そのことが結果的に、理想的な顧客をより多く獲得することに繋がります。
先程のウィンドウズとマックの例を思い出してください。
ウインドウズが何を提供し、マックは何を提供してきたでしょうか?
先に進むまえに、そのことについてもう少し掘り下げてみましょう。
ビジネスやブランドが、最後にあなたを引きつけたのはいつのことでしょう?
つい最近のことですか、それとも遠い昔でしょうか?
人を継続的に引きつけるには、メリットや機能の説明だけでは限界があることを、あなた自身もうとっくにわかっているのではないでしょうか。
- ストーリー、特にメタストーリーは人をたんに引きつけるだけではなく、継続的に引きつける。
そして、このことがメタストーリーの本当の目的に繋がっていくのです。
優れたビジネスの構築だけでは終わらない
私はある思想(インテグラル・デザイン)を中心にあらゆることの体系化を試みています。
だからといって、宗教の創造を勧めようということではありません。
しかし、対立、混乱、矛盾に満ちた現実の世界において「所属している」という気持ちは、自己の表明であるとともに人々に安心感を与えます。
世界を席巻しているビジネスに共通している目に見えないファクター(要因)。
その1つが、チーム、顧客など、全員のなかにある帰属意識です。
このことは先程も触れたばかりなので、お覚えてらっしゃることでしょう。
しかし、そのことをほとんどの起業家が見落としています。
それが、自分を大きく超えて成長するビジネスを築く確実なツールであるにもかかわらずです。
- そのビジネスは自分より長く生き続け、ほぼ確実に自分を超えて成長し続ける。
- その自分を越えて成長したビジネスの仕組みによって、今度は自分自身の行動が促され、更なる自己成長へと導いてくれる。
起業家が本来やるべきことは、ビジネスをオートメーション化することではありません。
- 起業家の本質は、成長し続けるビジネスを構築することによって、自分も成長し続けること。
だから、そこに情熱を注ぐことができるのです。
つまり、自分が矜持を感じられるようなビジネスを所有するということです。
でも「自分にもそれができる」今はそう思えないかもしれません。
しかし、あなたが自分の可能性を信じ、そのことに取り組み続ければ実現できます。
ストーリーを作る気になりましたでしょうか?
だとしたら、あなた自身とあなたのビジネスについて厄介な質問をしなければなりません。
- あなたがビジネスをする目的は?
- ビジネスを始めるにあたって、他者のどんな夢を実現することを目指すのか?
- どのような信頼を築くのか?
- どのような価値観に基づきビジネスを構築するのか?
- あなたのビジネスが存在しないとしたら、世の中にどんな不利益をもたらすのか?
- あなたのビジネスが世の中にもたらすのは、どんな素晴らしいインパクトなのか?
- あなたのビジネスの成功のために誰もが応援してくれるのはなぜなのか?
あなたのビジネスには存在する物質的な理由は既に備わっているでしょうか?
物質的な理由とは、あなたが製品を売ることやサービスを提供する理由のことです。
しかし、充分にその効果を発揮するためには感情的というか心情的な要素が重要になります。
言い換えれば、その要素とは、、、、
- 例外なくすべての人間が本能的に持ち合わせているもの。
一つの木には何千何万という葉が茂り、実がなりますが、その源が根元にあるのと一緒なのです。
我々には物事を信じたいという欲求があり、また信じられる存在があるとによって力強く生きていけるのです。
ですから、あなたのビジネスを、あなたが関わる人達から信頼を得られるものへ築き上げていく、そのプロセスが大切です。
ビジネスをスタートして10年を越えてくるとその感覚は強まっていきます。
- 人間の本質に訴えかけるビジネスは、経済的な面だけではなく、人の心理的な欲求までも満たす。
そうしたことが理解できるようになると、あなたのビジネスが軸となって集まってきてくれた人との縁を濃いものにし、絆をつくってくれるようになります。
- そのようなビジネスになると、利便性やソリューションでは解決できないことまで解決できるの。
人はみな本質的には、そうしたことを望んでいるからです。
さいごに
今私の身近にいる方たちの85%以上はどこかの会社の経営者です。
規模は様々ですが、その中で創業者として10年以上事業を継続している方は70%を越えます。
特筆すべきは、例外なくソーシャルインテリジェンスが高い人たちです。
あなたも聞いたことがあると思います。
起業・独立して10年以内に90%以上のビジネスが消滅するという話を、、、
スモールビジネスに限って云えば、その確立はもっと高くなるでしょう。
彼らは、ある時重要なことに気づき、そこを起点にして踏ん張れたから今があるのです。
それは一人の力では成しえなかったでしょう。
ビジネスの世界は、他者から支援し続けてもらえる人だけが生き残れる世界です。
意地を張り自分の力だけでなんとかしようともがく人は、必ず行き詰まります。
それは、ただの自惚れから起こる行動にすぎないからです。
増してやツールやノウハウではありません。
それは、この37年間どんな環境下でも変わりませんでした。
いつでもどんなときでも、人との縁によって、なぜか自然と道が拓けていくのです。
そして、その人との縁を結ぶもの。
それがストーリーだということです。
次回は、ほとんどの人が軽視しているFPビジネスの秘訣です。
ではまた。