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当初住宅ローンも夫単独名義、登記も夫単独名義でしていた場合、妻の貯金や退職金を贈与の非課税枠を超えて繰上げ返済に使用すると、贈与税とみなされるので、妻の持分を登記するなど何らかの工夫をする必要があります。
解説
このケースで贈与税がかからない方法としては、主に3つ挙げられます。
- 妻は住宅ローン返済負担を負っていないため、夫の負債を済した場合には贈与とみなされます。ただし、一人に対する贈与は年間110万円までは非課税となっていますので、毎年110万円ずつ贈与した上で毎年繰上げ返済することは可能です。
- 夫単独名義から妻との共有名義にし、繰り上げ返済する700万円に相当する物件時価分について、妻へ持分登記変更をすることができます。ただし、登記費用や登記にかかる手間がかかりますし、名義を共有名義にすることはトラブルの種にもなるのでじっくり話し合ったうえで行ないましょう。また、夫のローン肩代わりとなるので、税務署や借入れ金融機関へ事前に必ず確認しましょう。
- 生活費や教育費、貯蓄、その他の住居費など必要な費用を妻の退職金でまかない、夫の収入や貯金を繰上げ返済に充てるようにすることもできます。ただし、毎月のローン返済まで負担すると金額によっては非課税枠をオーバーし、元も子もないなんてことにもなるので注意しましょう。
最も危惧すべきは、繰り上げ返済によって手元資金が目減りするリスクだ。
手元資金がないところに、教育資金や車の買い替え、
自宅の修繕などの必要が生じると、別途、ローンを組むことになりかねない。
いずれも住宅ローンより金利は高い。
低利の住宅ローンの返済を焦るあまり、高い金利のローンを借りることになっては本末転倒だ。
また、これらのローン
(リフォームローン、教育ローン、カーローン等々)には団体信用生命保険が付かないので遺族に借金を残すことにもなる。
実はこれが一番重要なポイント(リスク)である。
繰り上げ返済を急ぐ人の中には、
親から「お前が大学に上がる頃には住宅ローンは返し終えた」
などと吹き込まれている人も少なくない。
たしかに戦後、右肩上がりの経済成長を経験した世代では、
完済期間2〇年前後が平均的ともいわれる。
しかしこれには論理的根拠がある。
1965年当時の平均的な住宅価格を4〇〇万円前後とし、4〇〇万円を金利5・5%、返済期間35年で借りた場合で考えてみよう。
都市勤労者世帯の月収に占める返済負担率は当初31%だが、
1年後には平均月収が約5倍となり、返済負担率は6%に激減する。
高度経済成長の過程にあれば、月収の増加というアクセルのおかげで、
生活水準を変えることなく、誰でも簡単に繰り上げ返済ができたのだ。
しかし、現在のように収入が思うように増えない状況では、親世代と同じことをするのは到底、不可能である。
まずは教育費や修繕費のめどを立てること。
とくに一戸建てはマンションのように修繕積立金の支出を強いられない分、
計画的な準備が必要になる。
これらの準備が整ってなお、余裕資金があれば、繰り上げ返済を実行すればいい。
目処は500万円〜1,000万円だろう。
もちろん定年以降もローンが残るようなら、いつかは繰り上げ返済が必要だ。
収入が限られている以上、教育、住宅、自動車など、優先順位を付けることも重要。
教育費の一部を子どもに負担させる、という選択肢があってもいい。